あなたの自治体で使える支援制度を調べる

【2026年義務化】5分で掴む「カスハラ対策」全体像と、企業が今すぐ着手すべき3つのこと

基礎知識・法改正

2026.10.14 更新(初稿:2026.08.07)

カスタマーハラスメント(カスハラ)は、もはや一部の業界だけの問題ではなく、社会全体の課題として扱われるようになっています。改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、すべての企業にカスハラ対策が義務化されました。この記事では、カスハラの基本的な定義から、企業が今すぐ着手すべき対策まで、5分で全体像をつかめるように解説します。


1. そもそも「カスハラ」とは?クレームとの違い

カスハラは、次の3つの要素で整理できます。

  1. 顧客、取引先など第三者(顧客等)からの言動であること
  2. 社会通念上不相当な、著しい迷惑行為であること
  3. それによって従業員の就業環境が害されること

正当なクレームとの境界線

商品やサービスの欠陥に対する、妥当な範囲での改善要求は「正当なクレーム」であり、企業として真摯に対応すべきものです。一方で、要求を実現する手段(怒鳴る、長時間居座る、SNSで晒すと脅す等)や要求内容(落ち度がないのに金銭を要求する等)が社会通念上不相当であれば、カスハラに該当します。詳しくはこちらの記事でも解説していますので参照してみてください。

カスハラと正当なクレームの違いとは?判断基準・チェックリストを徹底解説
カスハラと正当なクレームは、どこで線引きされるのか。厚生労働省と東京都の指針が示す「2つの判断軸」と、実際の裁判例をもとに、事業者側・消費者側それぞれの視点から徹底解説します。

2. なぜ今、対策が必要なのか

法的義務になった

改正労働施策総合推進法(2025年6月11日公布)により、2026年10月1日から、事業主にカスハラ対策の実施が義務付けられました。あわせて、東京都をはじめとする複数の自治体が独自の防止条例を施行しており、国と自治体の両面からの対応が求められています(国の法律と自治体条例の違いは「法律と条例の違い」で詳しく解説しています)。

経営リスクでもある

  • 損害賠償リスク:カスハラ被害を放置し、従業員の心身に影響が出た場合、安全配慮義務違反(労働契約法第5条)を問われ、企業が損害賠償責任を負う可能性があります
  • 離職リスク:マイナビの調査では、アルバイト・パート従業員がカスタマーハラスメントを経験した企業は、早期離職(1カ月以内の離職)があった割合が34.2%で、経験のない企業より11.5ポイント高いという結果が出ています。対策の有無が、採用・定着コストに直結する時代になっています

3. 今すぐ準備すべき3ステップ

ステップ①:事前の防止策

  • 基本方針の策定・公表(文面テンプレートは「基本方針テンプレート」をご覧ください)
  • 録音・録画を行う場合の就業規則への規定整備
  • 店内・窓口への告知ポスター掲示

ステップ②:相談対応体制

  • プライバシーに配慮した相談窓口の設置
  • 一次対応・二次対応のエスカレーションルールの明文化
  • 複数名での対応を原則とする体制整備

ステップ③:事後対応


4. まとめ

カスハラ対策は、単なるコンプライアンス対応ではなく、従業員を守り、組織を持続可能にするための経営上の投資です。まずは自社の基本方針を定めることから始めてみてください。

なお、カスハラをめぐる制度は現在も動いています。たとえば三重県では、全国初となる罰則付きのカスハラ防止条例案が県議会に提出されました(詳しくは「法律と条例の違い」)。対策は一度整備して終わりではなく、定期的な見直しが必要です。

▶ カスハラ支援制度データベースを見る


編集部おすすめツール

現場のとっさの対応には、SOSボタンやウェアラブルカメラの導入もおすすめです。「録画中」の表示そのものが抑止力になるほか、クラウドへの証拠保存にもつながります。

【2026年最新】カスハラテック機器&現場防犯ツール 完全比較ポータル
就業規則や基本方針(ポリシー)などの法的・社内ルールを整えた次に重要なのが、「現場で働く従業員を守る物理的な防具(ガジェット・セキュリティ機器)」の導入です。悪質クレーマーとの「言った・言わない」の水掛け論を防ぎ、万が一の際に警察や弁護士が…

関連記事


出典・参考

タイトルとURLをコピーしました