本記事で紹介する「マモロッサ」は、当サイトを運営する株式会社ウェルノワが提供するサービスです。
2026年10月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、カスタマーハラスメント対策がすべての事業主の義務になりました。規模も業種も問いません。労働者が1人でもいれば対象で、パワーハラスメント防止措置のような中小企業への猶予もありません。
相談窓口を設け、就業規則に方針を書く。多くの事業所が、まずそこから着手しています。ただ、それだけでは守りきれない働き方があります。ひとりで現場に向かう仕事です。
相談窓口は、その場では役に立たない

訪問介護、警備、設備の保守、配送、宿泊施設の清掃。これらに共通するのは、働く人が単独で現場に入ることです。
相手と1対1になり、周りに人はいません。強い言葉を浴びせられたとき、身の危険を感じたとき、その場で助けを呼ぶ手段がありません。
「スマートフォンで連絡すればいい」と思われるかもしれません。しかし、相手の目の前で端末を取り出し、画面を操作し、電話をかけることは、現実にはできません。相手を刺激しますし、そもそもそんな余裕がありません。
結果として、その場はひとりで耐えることになります。そして、後から事業所に相談しても、記録が残っていなければ、何が起きたのかを確かめることも、対策を立てることもできません。
相談されない、記録も残らない
日本介護福祉士会が2022年に行った調査(有効回答158件)は、この構造をよく示しています。利用者やその家族から被害を受けた経験があると答えた方の割合は、次のとおりです。
| 被害の種類 | 経験あり | 具体的な内容(複数回答) |
|---|---|---|
| 精神的な攻撃 | 59.6% | 大声を出された 72.0%/過剰なサービスの要求 53.8% |
| 身体的な攻撃 | 52.5% | 叩かれた 86.7%/つねられた・噛まれた 各63.9% |
| 性的な言動 | 34.2% | 不必要な身体への接触 75.9%/性的な冗談 66.7% |
精神的な攻撃については、行為者が利用者本人73.1%、その家族63.4%と、家族からの被害もほぼ同じ水準で起きています。
そして注目すべきは、相談の状況です。身体的な攻撃を受けた方の36.6%、性的な言動を受けた方の45.3%が、誰にも相談していません。
相談されなければ、事業所は実態をつかめません。実態をつかめなければ、義務となった「措置」も形だけのものになります。
ボタンひとつで、通報と記録を同時に
こうした課題に対して、別の角度からの解決を試みているのが「マモロッサ」です。
仕組みは単純です。衣服やポケットにつけた小型のBluetoothボタンを押すと、その状況が事業所へ伝わります。スマートフォンは、鞄やポケットに入れたままで構いません。
覚える操作は3つだけです。
- 1回押す:訪問の開始・終了を記録する(時刻と位置が事業所に残る)
- 2回押す:ダミーコール。着信を装う音と振動が鳴る
- 長押し:事業所へSOS通報し、その場の音声の記録を始める
通報が「長押し」に設定しています。ポケットの中で誤って2回押してしまうことは起こりますが、長押しは意識しないとできません。しかも、危険を感じた時に手が自然に握りしめる動きと重なります。押し続けている間に通報されるので、「今、助けを呼んでいる」という確信も持てます。
2つ目は、通報とは別の役割を持ちます。「事業所から電話が」と言って、その場を離れる口実を作るためのものです。危険を感じた時、相手と対峙せずに距離を取れることには、現実的な意味があります。誤って鳴らしてしまっても、着信音が鳴るだけで、事業所には何も伝わりません。
通報を受けた事業所側では、誰が・いつ・どこで押したかが管理画面に表示されます。メールやSlack、LINEにも通知が届きます。管理者はパソコンでもスマートフォンでも、その場から通話できます。スタッフ側で電話に出る操作は要りません。
「監視される」と感じさせないために
この種の仕組みで難しいのは、働く人が受け入れるかどうかです。安全のための道具が「見張られている」という感覚を生んでは、現場で使われません。
マモロッサは、この点を設計の前提に置いています。
- 位置情報は、ボタンを押した瞬間だけ取得する。常時の追跡は行わず、そのための権限も取得していない
- 録音は、通報している間だけ。業務中ずっと録音することはない
- 音声の記録は30日で削除する。それ以上必要な場合は、事業所側で取り出して保管する
「何を集めないか」を明確にすることが、現場の納得につながると考えています。
訪問介護以外でも
マモロッサは訪問介護向けに作られていますが、仕組み自体は分野を限定していません。ボタンを押したことを伝える部分は共通で、押した意味づけを変えることで、ほかの現場にも応用できます。
単独で働く現場
警備、設備の保守、配送、宿泊施設の清掃など、ひとりで現場に入る仕事は少なくありません。「いつもと違う」と感じた時に、その場で知らせる手段があることの価値は、訪問介護と変わりません。
小売・飲食の店頭
海外では、カウンターの下に両面テープでボタンを貼り付け、ヘルプボタンとして使う例があります。レジで対応に困った時、バックヤードへ応援を求める。客からは見えない位置にあるので、相手を刺激しません。カスタマーハラスメントが起きやすい接客の現場でも、使い道があります。
これらについては「同じ仕組みで対応できる」という段階で、実際の提供は訪問介護を優先しています。関心のある方は、お問い合わせください。
まとめ
対策が義務になった一方で、ひとりで現場に向かう人を守る手段は、まだ十分とは言えません。相談窓口を設けることと、その場で助けを呼べることは、別の問題です。
マモロッサは2026年内のサービス開始に向けて準備を進めており、現在先行導入をご希望の事業所さまを募集しています。
- サービスの詳細:mamorossa.com
- 資料(PDF・4ページ):ダウンロードはこちら
関連記事
このボタンの本質は「緊急通報」ではなく、押した瞬間の時刻と場所を確実に記録することにあります。そう捉え直すと、ずいぶん違う使い道が見えてきます。
→ 「押した瞬間」を記録する道具──小型ボタンの、ちょっと変わった使い道
出典:公益社団法人日本介護福祉士会「介護現場におけるハラスメントの実態と対応策に関する調査」(2022年10月、有効回答158件)


