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公務員の約半数がカスハラ被害、1割が「議員からの無理な要求」も経験——自治労連7万人調査から見える”もう一つのカスハラ”

最新ニュース解説

2026.10.14 公開

※少し古い記事ですが、「カスハラ=接客業の話」という思い込みを崩してくれる調査だったので、あらためてご紹介します。

カスタマーハラスメントというと、小売店や飲食店、コールセンターなど「お客様」と直接向き合う現場の話として語られがちです。しかし、自治労連(日本自治体労働組合総連合)が約7万人の公務員を対象に行った調査では、公務員にとっての”カスタマー”には、住民だけでなく「議員」も含まれるという、あまり語られてこなかった実態が浮かび上がりました。


1. 調査の概要

自治労連が例年実施している「働くみんなの要求・職場アンケート」に、今回初めてカスタマーハラスメントに関する項目が追加されました。

  • 回答数:71,191件(約7万人)
  • 実施団体:日本自治体労働組合総連合(自治労連)

公務員を対象にした調査としてはかなり大規模な部類に入り、単発のアンケートでは見えにくい「現場の肌感覚」が数字として表れています。


2. 公務員の47.6%がカスハラを経験

調査によると、47.6%が「職場で一度でもカスハラを受けた経験がある」と回答しました。ほぼ2人に1人という水準です。

年代別に見ると、30代が56.8%でもっとも高く、次いで40代が53%。働き盛りの世代ほど、住民対応の最前線に立つ機会が多いことがうかがえます。

職種別では、公衆衛生の職場が70.1%でトップ、一般事務が65.5%で続きます。窓口や電話で住民と直接やり取りする機会の多さが、そのまま被害経験の高さに表れている形です。


3. カスハラの内容:暴言・威圧が8割超、「議員からの無理な要求」も9.3%

カスハラの具体的な内容(複数回答)は次のとおりです。

内容割合
侮辱・大声で威圧するなどの乱暴な言動84.4%
長時間の拘束(窓口・電話など)48.8%
不必要・執拗な上司への面会要求28.8%
不当な謝罪の要求26.3%
議員(政治家)からの無理な要求9.3%
殴るなどの暴行5.2%
金銭や契約などの不当な要求3.2%
インターネット上での個人への誹謗中傷2.9%

暴言・威圧や長時間拘束が上位に来るのは民間の接客現場とも共通する傾向ですが、注目したいのは「議員からの無理な要求」が9.3%、約10人に1人という水準で存在している点です。

民間企業におけるカスハラ対策は「顧客 対 従業員」という構図を前提に設計されることがほとんどです。しかし公務員にとっては、住民だけでなく、本来は住民の代表であるはずの議員もまた、業務上の要求を突きつけてくる相手になり得ます。しかも相手は選挙で選ばれた立場であり、現場の職員が「対応を断る」「組織として毅然と対処する」という、民間の基本方針に書かれているような対応を取りにくい、という構造的な難しさを抱えています。また殴るなどの暴行が5.2%、ネット上の誹謗中傷が2.9%存在している点も、公務員が置かれている状況の厳しさを物語っています。


4. 健康への影響と、公務員特有の構造的な課題

被害を受けた人のうち、43.7%が健康状態への影響があったと回答し、2.3%は実際に仕事を休まざるを得なくなったと答えています。仕事に「非常にやりがいがある」と答えた人の中でも40.9%が健康への影響を受けており、仕事への前向きな姿勢と、カスハラによるダメージは別問題であることが分かります。

背景には構造的な課題もあります。地方公務員安全衛生推進協会の調査では、2013年度から2023年度の10年間で、「精神および行動の障害」による長期病休者数が約1.9倍に増加しています。さらに今回の調査では、職場内の相談窓口について「分からない」と答えた人が6割を超えており、相談体制があっても、現場にきちんと周知されていないという課題も見えてきます。


5. 民間企業にとっての示唆

この調査は公務員を対象にしたものですが、民間企業にとっても示唆があります。

  • 「お客様」の定義を広げて考える:取引先の担当者、提携先、場合によっては株主や地域の有力者など、立場上「強く出にくい相手」からの無理な要求は、一般的なカスハラの枠組みでは見過ごされがちです。基本方針や相談窓口の設計時に、こうした”対応しにくい相手”のパターンも想定しておくと、現場の職員がより相談しやすくなります
  • 相談窓口は「あるだけ」では機能しない:6割が窓口の存在を把握していないという結果は、民間企業にもそのまま当てはまり得ます。基本方針や相談窓口を整備した後の「周知」の重要性を改めて示すデータといえます

6. まとめ

自治労連の調査が映し出したのは、「カスハラ=接客業の話」という前提そのものを問い直す結果でした。公務員の約半数が被害を経験し、その中には「議員からの無理な要求」という、民間企業の対策の枠組みだけでは想定しきれない要素も含まれています。

対策を検討する際は、「誰が”カスタマー”になり得るか」を一度広めに洗い出しておくことが、抜け漏れのない体制づくりの第一歩になりそうです。自社の基本方針・相談窓口の整備については「基本方針テンプレート」もあわせてご覧ください。

▶ カスハラ支援制度データベースを見る


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出典・参考

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