2026年10月1日施行の法改正により、企業におけるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策は努力義務から本格的な防止措置義務へと移行します。
そうした中、クラウドPBX「GoodLine」を展開する株式会社グッドリレーションズが実施した「電話対応におけるカスタマーハラスメント対策に関する実態調査」(ビジネスパーソン600名対象)の結果が公開されました。
本記事では、電話窓口が抱える被害実態と対策の遅れ、そして現場を守るために企業が導入すべき対策とITツールのポイントを分かりやすく解説します。
【調査概要】
- 調査テーマ:電話対応におけるカスタマーハラスメント対策に関する実態調査
- 調査対象:全国の20〜69歳のビジネスパーソン(電話対応・管理業務従事者)600名
- 調査元:株式会社グッドリレーションズ(クラウドPBX「GoodLine」)
- 出典:PR TIMES プレスリリース(2026年8月19日)
1. 調査結果のハイライト:約6割が被害経験、一方で半数は「対策未着手」
今回の調査から、電話対応の現場における深刻な実態と企業の準備状況のギャップが明らかになりました。
① 電話対応者の約6割(59.8%)が困りごとを経験
過去1年以内に電話窓口でトラブルを経験した内訳として、以下のような精神的負荷の高い行為が上位に挙がっています。
- 威圧的・高圧的な口調で話された(32.5%)
- 長時間にわたり電話対応を求められた(26.7%)
- 過度な要求や理不尽な要求を受けた(22.0%)
② 対策方針が「未整備・着手前」の企業が46.7%
2026年10月の義務化について「内容まで知っている」層はわずか24.3%にとどまりました。さらに、社内ルールや方針が「特に整備されていない(33.5%)」「必要性は感じるが未着手(13.2%)」を合わせると46.7%に達しており、法改正直前でありながら対策の遅れが目立ちます。
③ 履歴共有・組織対応の不足(属人化のリスク)
- 通話内容を後から確認・共有できる体制が「整っていない」企業:60.0%
- 「担当者個人の判断に任されている」「体制がない」企業:46.7%
多くの現場で、悪質な電話を受けても担当者が1人で抱え込まざるを得ない「孤立無援」の状況が続いています。
2. カスハラ対策で有効な機能TOP3は「記録・抑止・遮断」
「電話対応のカスハラ対策として有効だと思う機能」の設問では、担当者のスキルだけに頼らず、システムによる物理的な防御を求める声が上位を占めました。
| 順位 | 有効だと思う機能 | 回答割合 | 主な効果・目的 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 通話録音 | 76.5% | 「言った・言わない」の証拠保全、事実確認 |
| 2位 | 通話前の録音アナウンス | 65.7% | 事前告知による心理的抑止、暴言防止 |
| 3位 | 問題電話番号の着信拒否・制御 | 65.0% | 執拗な同一人物からの架電を遮断 |
| 4位 | 着信・対応履歴の一元管理 | 59.5% | 部署間での情報共有、対応の属人化解消 |
| 5位 | 管理者による通話モニタリング | 55.7% | 早期エスカレーションと現場サポート |
3. なぜ「個人の応対力」に頼る対策は限界なのか?
これまで多くの企業では、電話クレームに対して「ビジネスマナー研修」や「現場の応対スキル」で乗り切ろうとしてきました。しかし、カスハラが社会問題化し法定義務となる中、この属人的なアプローチには2つの重大なリスクがあります。
- 現場従業員のメンタルヘルス悪化・離職リスク
1対1で暴言や長時間拘束を受け続けると、担当者の心理的負担は限界に達し、離職や休職に直結します。 - 組織としての迅速な判断・法的対応の遅れ
音声データや客観的な履歴がない場合、上席へのエスカレーションが遅れるだけでなく、弁護士への相談や警察への通報、毅然とした契約解除・対応打ち切りといった組織判断が下せなくなります。
4. 2026年義務化に向けて企業が取るべき3つのアクション
今回の調査結果を踏まえ、企業は「制度・ルール」と「テクノロジー(システム)」を両輪で整備することが不可欠であることが浮き彫りとなりました。
① 「客観的な記録を残す」体制の標準化
クラウドPBXなどのシステムを活用し、全通話自動録音や「通話内容を録音いたします」という事前アナウンスを導入し、言動の抑止と証拠保全を行います。
② 「組織で共有・即時介入する」エスカレーション設計
「暴言があった場合は警告の上で切電」「通話が15分を超えたら上席がモニタリング・交代」といった明確な判断基準とマニュアルを策定し、現場に判断を丸投げしない仕組みを作ります。
③ 「会社として従業員を守る」基本方針の公開
自社のWebサイト等で「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を公表し、不当・悪質な要求に対しては組織として毅然と対応する姿勢を社内外に宣言します。
まとめ
相手の表情が見えない電話窓口は、対面接客以上に言葉がエスカレートしやすい特性があります。
2026年10月の義務化を契機に、単なるマナー教育にとどまらず、「通話録音」「事前アナウンス」「着信制御」といったテクノロジーの防壁を整備し、現場の従業員が安心して働ける環境づくりを進めましょう。
出典・参考資料
- 株式会社グッドリレーションズ プレスリリース:【2026年10月施行】電話対応のカスハラ対策、有効だと思う機能1位は「通話録音」(76.5%) GoodLineが実態調査(PR TIMES / 2026年8月19日公開)


