2026.10.09 基礎知識
カスハラの相談窓口は、実はひとつではありません。「命の危険がある」「法的な対応を考えたい」「心が限界に近い」——状況によって、頼るべき窓口は変わります。ここでは、目的別に整理した公的な相談先をまとめます。
なお、以前よく紹介されていた厚生労働省委託の「ハラスメント悩み相談室」(0120-714-864)は、2025年3月21日をもって受付を終了しています。今も案内しているサイトが少なくないので、まずこの点にご注意ください。以降の相談は、下記の「総合労働相談コーナー」に引き継がれています。
まず命・身体の危険があるなら:110番
暴力をふるわれた、刃物を持ち出された、監禁されそうになったなど、今まさに危険が迫っている場合は迷わず110番です。「仕事中だから」「大げさにしたくない」とためらう必要はありません。
緊急ではないが、警察に相談したいとき:警察相談専用電話「#9110」
- つきまとわれている、待ち伏せされている
- 「次に来たら殴る」など、脅迫めいたことを言われた
- 証拠(録音・映像)をどう扱えばいいか相談したい
といった、110番ほど緊急ではないが警察に相談したい場合は、#9110(プッシュ回線・携帯電話から)が全国共通の窓口です。発信した地域を管轄する警察本部・警察署の相談窓口につながります。通常の通話料金がかかり、受付時間は平日の日中が基本です(都道府県により異なります)。#9110がつながらない場合は、都道府県警察の代表電話(「警察 総合相談 #9110 つながらない」などで検索すると、ダイヤル回線用の番号が案内されています)にかけてください。
職場・雇用主としての対応を相談したいとき:総合労働相談コーナー

「会社が対策を取ってくれない」「事業主として何をすればいいか分からない」という場合は、各都道府県の労働局・労働基準監督署内に設置されている総合労働相談コーナーが窓口です。
- 労働者側・事業主側どちらからの相談にも対応
- 相談無料、予約不要、秘密厳守
- カスハラに限らず、ハラスメント全般・労働条件のトラブルを扱う
- 必要に応じて、都道府県労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせん制度の案内も受けられる
最寄りのコーナーは「(都道府県名) 総合労働相談コーナー」で検索するとすぐに見つかります。2026年10月の義務化を受けて、今後ここへの相談件数は増えていくと見られます。
法的な対応(損害賠償・訴訟)を考えたいとき:法テラス
弁護士に相談すべきか、どんな法的手段があるのか分からない、という段階でも利用できます。
- 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(法制度や関係機関の紹介)
- 犯罪被害者支援ダイヤル:0120-079714(無料、平日9:00〜21:00、土曜9:00〜17:00) 暴行や脅迫など、犯罪に該当しうる被害を受けた場合はこちら。弁護士費用の援助制度なども案内してもらえます。
人権問題として相談したいとき:みんなの人権110番
差別的な言動や、著しい侮辱など「人権侵害」の色合いが強いケースは、法務省のみんなの人権110番(0570-003-110)も選択肢になります。最寄りの法務局につながり、職員または人権擁護委員が対応します。受付は平日8:30〜17:15。自動音声ガイダンスで「その他の人権問題」を選ぶと案内されます。
心がつらいとき:こころの耳
カスハラ自体の解決とは別に、精神的に追い詰められている場合は、厚生労働省の「こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)」が、電話・SNS・メールでの相談に対応しています。まずは話を聞いてほしい、という段階でも使えます。「解決すること」より先に、「潰れないこと」を優先してください。
自治体独自の「カスハラ専用窓口」も増えている
近年は、都道府県や市区町村が独自にカスハラ専用の相談窓口を設ける動きも広がっています。例えば:
- 東京都カスタマーハラスメント総合相談窓口:0120-182-276(平日9:00〜17:00、Web相談は24時間受付)
- 埼玉県カスタマーハラスメント総合相談窓口:048-831-8000(平日9:00〜19:00)
- 北海道カスタマーハラスメント防止対策特設サイト:フリーダイヤルの相談窓口あり
こうした自治体窓口は、労務管理やメンタルケアの専門相談員が対応するなど、一般の労働相談より踏み込んだ支援を受けられることがあります。ただし、設置している自治体はまだ一部にとどまります。
自分の自治体の窓口を調べる
お住まいの自治体に専用窓口があるかどうかは、自分で一つひとつ調べるのは大変です。
当サイトでは、国・47都道府県・政令指定都市・中核市などの相談窓口・支援制度を一次情報から調査し、データベースとして公開しています。都道府県と事業の分野を選ぶと、使える相談窓口や支援制度が一覧で表示されます。
まとめ:迷ったら、総合労働相談コーナーか#9110
窓口が多くて迷ったら、労働問題としてなら総合労働相談コーナー、危険を感じているなら#9110(緊急なら110番)と覚えておくと、まず間違いありません。そこから、必要な専門窓口を案内してもらえます。ひとりで抱え込まず、まずは話せる場所に繋がることが第一歩です。
出典・参考
- 厚生労働省:総合労働相談コーナーのご案内
- 厚生労働省:ハラスメント悩み相談室(受付終了のお知らせ)
- 警視庁:相談ホットラインのご案内
- 日本司法支援センター(法テラス):お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)
- 法務省:みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)
- 厚生労働省:こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
- 東京都:東京都カスタマーハラスメント総合相談窓口
- 埼玉県:カスタマーハラスメント総合相談窓口


